子どもが、まばたきを繰り返したり、首振りや首をすくめる動作などを何度もしていると、「これってただの癖?それともなにかの病気……!?」と心配してしまいますよね。
頻繁なまばたきや首振りなどの動作で、まず多くの方がふと疑ってしまうのは、“チック症”ではないでしょうか。
では、実際チック症とは、いったいどんな病気なのでしょう? もし我が子がチック症だったら、どのように対処したらいいのでしょうか?
今日は、“チック症の症状と対処法”についてお伝えしていきます。
■チック症の症状と原因
チック症は、まばたき、首振り、あるいは奇声を発するなどの動作を繰り返す、小児期の子どもに多い“神経疾患”です。大きく“運動性チック”と“音声チック”の2つに分けられます。
・運動性チック・・・まばたき、首振り、肩をすくめる、飛び跳ねるなどの動作を繰り返す
・音声チック・・・奇声を発する、鼻ならし、咳払いなどを連発する
多くは心と身体の成長とともに緩和・消失していくとされていますが、慢性化することもあります。慢性化したチック症は、“トゥーレット症候群”と言われます。
チック症は、脳の一部による異常とされる説や、ストレスなど心因性によるものとされる説がありますが、実ははっきりと原因は解明されていません。明確な予防法もないのが現状です。
症状の緩和や改善には、親子の関わり方が重要であると言われています。
■我が子が「チック症かな?」と思ったら
我が子が「もしかしてチック症?」と思ったら、家庭でできることとして、次のことを心がけてみてください。
(1)神経質になりすぎない
チック症は、不安やストレスを感じているときによく出現するとされています。
子どもの頻繁なまばたきや首振り、あるいは奇声などが気になりだすと、心配で胸がいっぱいになってしまうママは多いと思います。ですが、その心配が執着心となり、子どもに余計にストレスを与えているのかもしれません。
「まばたきを止めなさい!」と注意をしたり、過度に気にする素振りを見せたりするなど、子どもが不安やストレスを感じることは控えましょう。
(2)子どもの力を信じる
子どもは「だいじょうぶかしら……」と心配や不安を過度に親から抱かれるより、「あなたならきっと大丈夫!」と信じてもらえるほうが、能力を発揮できるし、いきいきと生きられるもの。
今は頼りなく、か弱い存在に見える子どもですが、目の前に起こる問題はすべていずれ自分で乗り越え、解決していかなければなりません。そして、子どもにはきっとそれができる能力が備わっています。子どもの力を信じてあげましょう。
■心配よりも大切なこと
筆者の友人の話ですが、“チック症の緩和や改善には、親子の関わり方がとても大切”ということを改めて教えてもらった出来事があります。
彼女の息子が幼稚園に入園した当時、「もしかしてチック症?」と思ったときがあるそうです。
息子がまばたきを繰り返すたびに、彼女は「私の愛情が足りないからじゃ……」などと不安になり、思いつめていたそうです。
ですが、ある時自分の過去を振り返ってみると、自分自身も小さい頃、チック症のような動きをやっていたことを思い出し、「ああ、自分もなかなか環境に馴染めなくて、ストレスでまばたきを繰り返していたことがあったな……。でも、自然に打ち解けられるようになって、緩和されていったな」と思うと、その瞬間、息子に対するチック症への執着心がパッと消えたのだそうです。
そして、「きっと息子も大丈夫! 乗り越えていけるはず!」と、息子を信じようとする気持ちが芽生えてきたのだとか。
そうすると、不思議なもので、次の日から変化が表れて、幼稚園の先生から「今日は今までにないくらい元気でしたよ!」というお手紙をもらっていました。今は、チック症の動きはまったく見られないそうですよ。
いかがでしたか。
子どもにチック症のような動きが見られたら、 小児科の先生など専門家に相談することももちろん大切ですが、親子の関わり方を見直すことで現状を変えていくことができるかもしれません。
多くは自然に消失していくということを頭に入れつつ、神経質になりすぎないように対応していきましょうね。
【著者略歴】
※ 黄本恵子・・・2010年、ライターとして独立。自己啓発・コミュニケーションスキル系の本や、医療・医学系の本の編集協力・代行執筆を数多く手がける。日本メンタルヘルス協会基礎心理カウンセラー。
It Mama から引用