トゥレット症候群について
本人の意志とは無関係に体が動いてしまうチック症は、子供に多くみられる障害です。
不随意の運動に加えて咳払いなども表れたら、トゥレット症候群かもしれません。
男の子に起きやすいと言われているチック症やトゥレット症候群について解説します。
原因・症状・治療法など
チック症やトゥレット症候群にかかると、嫌でも同じ動作を繰り返してしまいます。
周囲はおろか家族にも非難されがちですが、決してわざとやっているわけはありません。
また自閉症では?
と勘違いされることが多々ありますが、自閉症とは全く別の障害です。
自閉症との見分け方や、原因・症状・治療法など、チック症とトゥレット症候群の正しい知識をお教えしましょう。
子供に発症しやすい障害です
チック症とは、体の一部が本人の意思とは無関係に動いたり、声を発したりしてしまう障害のことです。
大人になってから発症することもありますが、ほとんどは子供の頃(3歳~9歳ころ)に発症します。
チック症は、どちらかというと女児よりも男児に多くみられます。
なぜ男児に多いのかは不明ですが、子供は10人に1人が体験するという報告もあることから、誰がいつ発症してもおかしくありません。
なお、多くは成長につれ自然に治りますが、まれに大人になっても症状が続く人がいます。
チック症は健康を損ねるような障害ではありません。しかし特徴的な症状が表れるため、周りから白い目でみられたり、症状が気になって勉強や仕事に集中できなかったりと、社会生活に大きく支障をきたしてしまいます。
チック症は3つに分類される
チック症は大きく3つに分類することができます。
1年以内に自然に治るものを一過性チック、1年以上継続するものを慢性チック、運動チックと音声チックの両方の症状が1年以上続くものをトゥレット症候群と呼んでいます。
運動チックとは
運動チックとは、体の一部を必要以上に何度も動かす症状のことを言います。
瞬き、首を傾げる、肩をすくめる、口を尖らせる、顔をしかめる、舌打ちなどの動作を繰り返します。
中にはベッドの上を飛び跳ねる、物の匂いを嗅ぐなどの癖が出る子もいます。
音声チックとは
無意味な声を出したり、汚い言葉を発したりするのが音声チックです。
咳払い、うなり声、叫ぶ、鼻をすする、「ア、ア」と声を出したりする他、「馬鹿」など周囲の人が不快になるような汚い言葉をぶつぶつと呟くこともあります。
発症のきっかけは強いストレス
チック症の原因は、誤解されがちですが母親の過干渉や過保護のせいとは限りません。
明確なメカニズムは不明ですが、先天的な脳神経系の異常と考えられています。
また要素を持って産まれても、必ずしも全員が発症するわけではなく、強いストレスがきっかけとなります。
チック症は、専門医でなければ正しい診断ができません。疑わしい症状がみられたら、児童精神科や小児神経科へ行くことをおすすめします。
なおチック症と診断された場合、一般的には重症であれば薬物療法、軽症であれば行動療法で治療を行います。
自閉症との識別は必ず病院で
チック症は奇声を発するなど、自閉症のような症状が出るので、勘違いされやすいです。
しかしチック症には、自閉症にみられるコミュニケーション能力の発達遅延はありません。
自閉症にチック症が合併することもありますが、いずれにしろ素人が判断することはできませんので、必ず病院へ行きましょう。
丁寧に検査すれば、識別はそう難しくありません。
子供がチック症にかかると、ついイライラして「困らせるためにわざとやっているのか」と腹を立てたり、「止めなさい」と叱ったりする親がいますが、これは逆効果です。
子供を精神的に追い詰め、かえって症状が悪化する可能性が高いので、注意しましょう。