子供のチック症は学童期に多く見られます
チックとは、多くの子供に見られる一種の癖のようなものですが、これが固定化・慢性化して重症化した場合、「チック症」と診断されます。チック症の多くは成長の過程で見られる一過性のもので心配はありませんが、まれに重症型と言われる慢性多発性のチック症である「トゥーレット症候群」というものもありますので、注意が必要です。
〔子供のチック症の症状〕
子供のチック症は、3~4歳頃に始まり、7~12歳の学童期に最も多く見られます。また、男児に多い傾向があり、男児と女児の割合は3対1と言われています。
チック症は、ピクピクっとしたすばやい動きが突発的にかつ本人の意思とは無関係に繰り返し起こるものです。
具体的な症状として、まばたきや首振り、口すぼめ、顔しかめ、肩をぴくっと動かすなどがあります。また、運動性チックと言われるものは、飛び跳ねや足けり、足踏みなど全身に及びます。音声チックと言われるものには、咳払いや鼻ならし、叫びなどがあります。
〔チック症の原因〕
チック症が発症する原因としては、身体的要因と精神的要因、及びそれらが複雑にからみ合っているものがあるとされています。
身体的要因としては、大脳基底核の神経伝達物質の異常などが考えられています。
精神的な要因としては、不安、ストレス、緊張などがあげられます。
〔チック症は自然に治る〕
多くのチック症は成長と共に自然に消滅して行きます。
発育の一段階ととらえ、チックの症状が起きても注意したり、叱責したりするのはやめましょう。子供は意思を持ってそのような行動をしている訳ではありませんが、親に注意されたり叱責される事により、ますます気にするようになってしまい、かえって悪化してしまう事があります。
チック症の発症には、精神的なものも関連しているため、保育園や幼稚園、学校での生活において、なるべく不安感や緊張、ストレスを軽減させ、取り除くようにしてあげましょう。また、精神的な抵抗力を高めるよう、援助してあげることも効果的です。
チックの症状はリラックスしている時に現れやすいという特徴もありますが、家庭ではできる限り、リラックスできるような環境を整え、症状にとらわれないように体を動かしたり、好きなものに熱中させるようにしましょう。
しかし、チック症状が長期化・慢性化したり重症化した場合は、子供専門の精神科などの医療機関を受診しましょう。特に多様性の運動チックと1つ以上の音声チックが長期間に渡って続く場合は「トゥーレット症候群」の可能性がありますので、注意してください。チック症の治療は親へのカウンセリングや遊戯療法、薬物療法などが行われます。
重症のチック症でも多くの場合、成人期には、軽減や消失の方向に向かいます。