夜尿症について
「年長さんになっても、ほとんど毎晩おねしょが続いています。夜尿症としての治療が必要でしょうか?」
・おねしょと夜尿症の違いは何ですか?
夜寝ている間に無意識に排尿してしまう夜尿は、子供の発達過程で見られるのは当然で、幼児期にはおねしょと呼ばれ自然に少なくなっていきます。ところが学童期になっても夜尿がある場合は夜尿症といい、程度によっては治療が必要となります。
・夜尿の原因はなんですか?
夜尿は発達途上の子供の脳や神経内分泌、膀胱機能など様々な体の未熟性によって生じると考えられていますが、実際は複雑です。より単純に説明すれば、睡眠中に作られるおしっこの量がそれを溜めておく膀胱の大きさを上まわってしまうためと考えられます。
・夜尿症にはどんなタイプがあるの?
1)多尿型夜尿症 睡眠中につくられるおしっこが薄くて量が多く、膀胱の大きさを上まわってしまうタイプ。脳下垂体からの抗利尿ホルモンの分泌が少ない場合があります。
2)膀胱型夜尿症 夜間の尿量は普通だが、膀胱の大きさが小さくあふれてしまうタイプ。日中におしっこが近かったり、ちびったりすることがあります。
3)混合型夜尿症 夜間の尿量が多く、しかも膀胱が小さく、より治りにくいタイプ
・幼児期のおねしょはどうすればいいの?
幼稚園までのおねしょは、成長とともに自然に良くなっていくため、お母さんはあまり神経質にならないで下さい。叱ったり、夜起こしたりすることはかえってよくありません。年長さんになってもほとんど毎晩おねしょをする場合は、夕方からの水分や塩分の摂取を控えめにしたり、寝る前に必ずトイレに行く習慣をつけることが大切です。
・学童期の夜尿症の対策は?
小学1,2年生で毎晩あるいは週の半分以上夜尿がある場合は、夜尿症の対策が必要です。先に述べた夜尿症のタイプによってその対策が異なってくるため、お子さんがどのタイプの夜尿症かを判断する必要があります。
夜尿症は放置していたとしても、思春期になると体や神経の成熟にともない改善する場合がほとんどですが、中には器質的疾患により難治性で外科的治療が必要なこともあります。
夜尿があることによって、お子さんが自信を失っていたり、お母さんが悩んでおられる場合は、かかりつけ医に一度相談されることをお勧めします。