原因の見極めが大事
夜尿症(おねしょ)は、小学校入学後の児童にも約10%に見られる。両親にしかられて自信をなくすなど、子供が受ける心理的な傷は大人が考えるよりずっと大きい。対応には、まずは原因を見極める必要がある。新都心こどもクリニック(埼玉県)の赤司俊二院長に聞いた。
排尿機能発達に遅れ
夜尿症は5~6歳を過ぎても睡眠中、無意識に排尿する病気。赤司院長は「夜尿症には尿量が多いタイプと、膀胱(ぼうこう)で尿をためる働きが悪いタイプ、さらには両者の混合型があります。いずれも排尿機能の発達の遅れですが、遺伝的要素が大きな原因になっています」と説明する。
排尿機能の発達に伴い自然に改善するケースもあり、年間で10~15%ほどだという。「放置していると成人になっても治らないケースがあります。小学校に入学しても夜尿症が治らない場合は、最寄りの小児科で原因を調べてもらうべきです」(同院長)
多尿型なら、水分摂取量を減らすのが第一。特に夕食時や夕食後の水分摂取を控え、就寝の3時間前には夕食を済ませるようにする。
必要なら薬物療法
膀胱の容量に問題がある膀胱型や混合型では、いかにして1回の排尿量を増やして、睡眠中の尿量を減らすかがポイントになる。
「昼間の排尿をできるだけ我慢する習慣を付けるとともに、就寝前にしっかり排尿して膀胱の容量を増やしておくと効果的です」(赤司院長)
こうした日常の心掛けで改善しない場合は、かかりつけの小児科医に夜尿症の専門医を紹介してもらうとよい。専門医では生活指導の見直しとともに、必要に応じて薬物療法が取られる。
「多尿型の場合、通常夜間に増加する抗利尿ホルモンの分泌が不十分なケースが多く、それと分かれば抗利尿ホルモン薬を用います。膀胱型では、膀胱の容量を増やすために副交感神経の働きを抑える副交感神経遮断薬を用います」(同院長)
混合型では、これらの薬を併用する。いずれにせよ、治療には時間を要するので、根気よく続けることが大切だ。
2010年10月取材(記事内容、医師の所属・肩書きは取材当時のもの)